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「…俺、星空って好きなんだよね。ここから見る星空は特に」


先生はぽつりと呟き、話し始めた。


「この公園ってさ、街から離れてるから空気もキレイだし、周りに建物がないから星がキレイに見えるんだよ。…この星空を見てると、悩んでることとか、全部スーッと消えてく…」


そう言った先生は、とても穏やかな顔をしていた。



「…うん。ほんとだね」

あたしも心が落ち着く。

ホッとする。


悩みとか、もやもやしてることとか、すごくちっぽけな物に思える。

この星空の前だと、素直になれる気がする。



「…ねぇ、先生」


「ん?」


「あたしね。先生が好き」


言葉が自然に出てきた。

自分でも不思議なくらい。


この星空のせい?

いや、星空のおかげかな?




先生は一瞬びっくりした顔をしたけど、またすぐ元の顔に戻った。


「先生が好き。…大好き」


あたしは先生を見て、微笑みながら言った。


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