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それからしばしの沈黙。

あたしは妙に落ち着いていた。



「…ありがとな。でも…」


あたしは先生の次の言葉を待たずにベンチから立ち上がった。

そして、公園の中央辺りに小走りで走っていき、先生のほうを振り向いた。

先生は頭に“?”を浮かべたような顔で見ている。


あたしはすぅっと息を吸い込み。


「あたしはー!望月恵が好きだー!!!」

大声で叫んだ。



「ちょ!お前、こんなとこでなに叫んでんだよ!!」


「大好きだーーー!」


先生の声を無視して叫ぶあたし。


「ちょ、ちょっとまじ止めろって!」


先生は動揺して、顔をちょっと赤くしながら焦ってあたしのところに走ってきた。



「めちゃくちゃ大好「もういいから!!」


あたしの言葉を遮りながら、あたしにデコピンをする先生。


「いったー!」


「…お前なぁ。恥ずかしいから叫ぶのはやめてくれ」

先生は片手で顔を覆って、ため息をつきながら言った。



「だって、あたしの本当の気持ちだもん!」


「だからって叫ばなくてもいいだろ!お前、恥ずかしくないのか!?」


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