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あたしが「ヤバいよね?ヤバいよね!?どうしよ~!」とオロオロしていたら

「大丈夫だろ。桜井先生は冗談だと思ってるよ」

と、先生は冷静に言った。


「そうかなぁ?…あ、でも冗談じゃないからね!?」

あたしが慌ててそう言うと、先生はアハハッと笑いながら「わかってるよ」と言った。

あたしは先生の笑顔を見て、また顔が緩む。


先生と一緒にいると、顔緩みっぱなしだよ…。









先生と話している内に、いつの間にか窓の外は青から赤に染まっていた。

窓のガラス越しに空を覗いたら、茜色の空と雲がとてもキレイだった。


「ねぇ先生っ、空めっちゃキレイだよ!」

あたしが呼び掛けると、先生は「んー?」と言って、あたしと同じように空を見る。


「おー、キレイだなぁ。…ん?校門とこにいんの誰だぁ?」

先生は空を見たあと、横目で校門を見ながら言った。


「えー?どれどれ?」

気になってあたしも校門のほうを見てみると、私服の男の人が校門に背を預けて気だるそうに立っていた。


「彼女待ちかなんかだろ」

先生はそう言うと、「青春だねー」と投げやりに呟いた。


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