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心臓がドクンと跳ねる。


「…なんで謝るの?」

意味わかんないよ…。

抱き締めてごめんってこと?


嫌な予感ばかりが頭を駆け巡る。



先生が「俺…」と言いかけたとき、あたしは聞くのが怖くなって、先生の言葉を遮って叫んだ。

「謝るなら期待させるようなことしないでよ!先生のバカ!!」

叫んだあと、あたしは入り口へ一直線。

…のはずが、走りだそうとしたとき、先生に腕を引っ張られて、背中から抱き締められた。

それであたしの頭はまたパニック状態。


「せ、先生!なんで…」

「人の話を最後まで聞けバカ」


耳元から聞こえる先生の声にドキッとして体が固まる。

先生の声は怒ってる口調だけど、どこか穏やかで。


あたしの心臓がまたドクンドクンとうるさく鳴り出す。


先生は固まるあたしの体をギュッと抱き締め、

「…好きだよ」

と小さく囁いた。


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