憑かれる私と見える先生
帰りのSHR(ショートホームルーム)が終ると私は足早に学校を出る。
帰路の途中にある図書館。
そこへ立ち寄るのが日課になっていた。
最近は窓際の日当たりの良い席がお気に入り。
だが、その席の正面にはいつも決まって小さな女の子が一人座って絵本を読んでいる。
初めは不気味に思ったがこの前親が迎えに来ているのを見て気のせいなのだと確信していた。
そして私は今日も1時間程そこで過ごすと図書館を後にする。
暗くなると物騒な世の中だ。
私の足も自然とあるく早さを増していた。
「おねぇちゃん。おねぇちゃん」
声のした方を振り向けばいつもの女の子がこっちを見つめて立っている。
「どうしたの?」
「おねぇちゃんはぽっけになにを入れてるの?」
ぽっけ。
私は制服のポケットに手を突っ込む。
(…あ)
手に握られたのは朝倉から貰った紙。
「おねぇちゃん。
きをつけて…ね」
そう言ってその子は駆けて行ってしまった。
(…早く帰ろう)
不気味過ぎる。
私は再び歩き初めた。