憑かれる私と見える先生
(………)
何分経っただろう。
家についてもいいはずなのに同じ場所ばかり歩いている。
自分の陰を見れば薄くなっていて、朝倉の手紙はこういう事だったのか…なんて思った。
<かぁーごめ、かぁごめ…>
少し歩くと陰のない子供達が童歌で遊びをしていた。
私は思わず背を向ける。
(…出口は何処…)
慣れとは恐ろしいと思う。
もう、ちょっとした事では驚きもしない。
<<後ろの正面だぁーあれ…?>>
耳元で囁かれた声に背筋がひやりとする。
身体も蛇に睨まれた蛙のようにぴくりともしない。
<<だぁあれ?>>
誰?
…そんなの知るか。
頬に汗がツゥーと伝う。
すると後ろから急に背を押された。
案の定身体は前のめりになり目の先には血だらけの子供達が刃物をこちらに向けている。
私はとっさに瞳を強く閉じた―。