プリンセスと学園の法則
必要とする存在
『お…梨緒…』
真っ白な霧の中、あたしを呼ぶ声がする……
あたしを呼ぶこの人は…
――お母さん??
「おい梨緒!!
遅刻するぞ!」
「…ん~、みなと?」
さっきのは夢?
「お前"お母さん"って言ってたぞ?
まだまだ子供だな!」
お母さん…
やっぱりあたし夢を見ていたんだね。
「あたしにお母さんなんていないよ……」
「はぁ?」
「もう死んじゃったから」
少しの沈黙。
それを破ったのはあたしだった。
「ってごめんね!!
朝からこんな話して…」
「初めてだな!
梨緒が家族の事話してくれたの」
予想外の返事にあたしは戸惑った。
「今も、辛いだろ?」
そう。
本当は今でも凄く辛い…
でも“強くならないと”って、自分に言い聞かせてた。