プリンセスと学園の法則
「梨緒をこの学園に通わせて、お父さんとお母さんみたいに運命の人に出会って、恋をして……
楽しく過ごしてほしかったんだ。
それが…二人の願いだったからな」
お父さんとお母さんの願い。
あたしは何てばかなんだろう?
勝手に勘違いして思い込んで。
家族の温かさを自分から手放してた。
「何も泣くことはないだろう?」
お父さんはあたしが泣くから、ちょっとビックリした様子だ。
でもそんなあたしの頭を昔みたいに、
“ポンポン”と優しく撫でてくれた。
「…ぁ…たしね?
楽しいよ。
この…学園で楽し…く過ごしてるよ?」
涙が喋るのを邪魔する。
けど、
いっぱいいっぱいの声を出した。
「そうか、たくさん話が聞けそうだ。
またいつでも帰っておいで?」
「うん!!」
「その時は、ぜひ湊くんも一緒にな?」
「もぅ、おとーさん!!」
親子二人で笑いあった。
長い時間をかけてできた溝は、たった数時間で意図も簡単に埋まった。