プリンセスと学園の法則
しょうがないので、湊が来ないまま劇は始まった。
劇は順調に進んでいく。
「姫…」
「王子様…?」
今はあたしと緒方くんの絡みのシーン。
キスがなくなった代わりにあたしは抱き締められる予定。
「好きだ……」
――…え?
こんな台詞あったっけ?
アドリブかな?
すると顔がどんどん近ずいてきた。
な、なんで!?
あたしは身の危険を感じて離れようとした。
けど緒方くんに強く抱き締められているので動けない。
他の出演する子達もオロオロしている。
そうこうしているうちに顔はもっと近くなる。
――ヤダ……ヤダヤダ~~~!!
「俺に合わせるんだ。
自分の行動で劇を台無しにしたくないだろう?」
緒方くんは、周りに気ずかれないように
コソッとあたしの耳元で言った。
会わせなきゃ、あたしのせいで台無しになっちゃう……