プリンセスと学園の法則
大分時間がたっても
湊は相変わらず千世チャンに引っ付かれてて
あたしは二人の姿を見ているだけだった。
「千世は、さ…
愛を知らないんだよ……
親に捨てられたんだ」
「……え?…
どおゆうこと…?」
「俺と千世、本当の兄妹じゃない…。
アイツは養子として、俺の家が引き取ったんだ…」
その時、緒方くんが寂しそうに千世チャンを見ていた理由も
湊から離させようとしない理由も……
全てが分かった気がした。
今も、緒方くんは寂しそうな瞳で千世チャンを見ている。
でもそんな感情だけじゃない。
あの瞳には……
愛しさも込められている。
これはあたしの感。
あたしが恋してるから……わかる。
「緒方くんは千世チャンが好きなんでしょ?」
「………そうだよ?」
あれ?
案外すんなりしてる。
「でも……
叶うわけがない。
俺達の血は繋がっていなくても
紙の上では兄妹なんだ」
そんな緒方くんは弱々しかった。
「そんなのわかんないよ。
緒方くんが千世チャンに愛を教えてあげればいい!!
あたしは恋することが悪いことなんて思わない。
兄妹でも……
恋する気持ちは変わらないと思う」