プリンセスと学園の法則
「緒方…くん…」
気まずい雰囲気。
「…梨緒、行くぞ」
「あ、うん……」
その時だった――…
「千世、俺お前とペアでいいや」
「湊クン?」
「いいから、行くぞ!」
ねぇどうして?
湊、どうして?
その手を握るのはあたしでしょ?
あたしの場所をとらないでよ。
大好きな人をとらないで…。
それでも今、
湊の差し出す手を握っているのは……
千世だった。
今にも涙が溢れだしそうだった。
――駄目
泣いたらダメ…
必死で堪えているあたしの瞳は、涙がたくさん溜まっている。
その涙が頬を伝いそうになった瞬間
目の前が真っ暗になった。