プリンセスと学園の法則



「緒方…くん…」


気まずい雰囲気。



「…梨緒、行くぞ」


「あ、うん……」




その時だった――…




「千世、俺お前とペアでいいや」



「湊クン?」



「いいから、行くぞ!」



ねぇどうして?


湊、どうして?


その手を握るのはあたしでしょ?


あたしの場所をとらないでよ。


大好きな人をとらないで…。



それでも今、

湊の差し出す手を握っているのは……



千世だった。




今にも涙が溢れだしそうだった。



――駄目
泣いたらダメ…


必死で堪えているあたしの瞳は、涙がたくさん溜まっている。



その涙が頬を伝いそうになった瞬間




目の前が真っ暗になった。






< 153 / 224 >

この作品をシェア

pagetop