プリンセスと学園の法則


選ばれたナイトはプリンスとなり、
プリンセスとくちづけ交わす。



「ごめん、な」


「引っ越すって……どこ行くの?」



「ニューヨークだよ。日本だったらついてかなくてもよかったんだけど、さすがに海外だからさ……」




「…行かないで」


「………」


「湊が海外なんて無理に決まってる!

英語なんて喋れないじゃん。ハンバーガーだって嫌いでしょ?

それに湊は……
あたしと離れても平気なの?」



涙が溢れそうになるのを必死でこらえる。


少しの沈黙が流れて湊が顔を上げた…




「梨緒、お前は俺が
世界で一番愛しいと思う女だよ」



――…なに、それ?


全然質問の答えになってなくて、
でもそれでも、嬉しいと感じてしまったあたしがいる。




「湊は……
全部お見通しだね」



いつも、あたしが欲しいと思った時に求めていた言葉をくれて、


喜ぶツボも怒るトコも全部、全部知ってる……


きっとそれはちゃんとあたしを見ててくれた証。


だからこそあたしは、そんな湊が大切なんだ。



「離れたって、俺はずっと梨緒を愛してる」




湊の真っ直ぐな瞳があたしを映し出している。





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