プリンセスと学園の法則
「お見通しだったんだね」
「だな…(笑)」
あたしはなんだか照れくさいような気持ちになった。
そのとき、またもや「兄ちゃーん!!」と呼ぶ声。
すると数秒後、翊くんが走ってきた。
「みんなで雪合戦しよう!」
「はあ?さみぃからやだね」
「お願いーっ」
翊くんは湊の服の裾をつかんで必死にお願いしている。
「やーだね」
「うぅーっ(泣)」
大きな瞳が涙でうるうるになっていく。
可哀想だと思ったあたしはつい…
「翊くん、雪合戦やろうか」
と、言ってしまった――…。
「よっしゃあぁぁぁ!」
あ、あれれ?
さっきの瞳のウルウルはどこへいった―…?
「はぁ~…さすが梨緒、なに引っかかってんだよ」
引っかかっる?
引っかかっる?
引っかかっるってえ―…
それはつまり、あの……
「全部、演技だったのおー?!」
「ははは」
斜め下を向くと、天使のようにキラキラした顔で翊くんが笑っていた―――