プリンセスと学園の法則
ステージⅡ~忍び寄る影~
湊はあたしの手を引っ張って、プリンセスルームへ連れてきた。
「……みなと?」
さっきから何も喋らない、ただあたしを見て溜め息を吐くばかり。
「隙見せんなよ!!!」
「―…え?」
「葉瑠には…渡さねぇから」
『あっ!!』と思ったらあたしは湊の腕のなかにいた。
「俺、本気だぜ…?」
こんなのいつもの事じゃんか…
おかしいよ、あたし。
抵抗したいのに、振りほどきたいのに…
動くことすらできない。
どんどん分からなくなっていく気持ち。
「――他のヤツなんか見んなよ」
長い長い迷路。
あたしはどうすることもできなくて、
必死で答えを探したんだ。
「―…ばか」
葉瑠が好きだったはずなのに、今のあたしの心の中にいるのは…湊だった。
「あっ!!
そう言えば、柘十(寮長)さぁ、実坩のこと好きって言ってたぜ?」
部屋を出る時、湊はいつもの意地悪そうな笑みを浮かべてそう言った。
そんな風に笑うから、まるでさっきの出来事が嘘みたいな気がした……