プリンセスと学園の法則


「何だよアイツ……」


「大丈夫だよ?」


あたしは今出来る精一杯の笑顔で笑った。


本当は不安で笑ってなんかいられない。


けど、無理にでも笑ってなきゃ……



不安に押し潰されそうなんだ。



「梨緒は頑張り屋だな」

玲音がそう言った。


梨緒は強いとか
梨緒はすごいとか


そんな言葉よりも、玲音の一言が心に染みた。



だって本当のあたしは、強くなんかないし

どこが凄いのかもわからない。



「あたし、疲れたし先に寮戻るね?」


「あぁ」

「気を付けろよ」

「じゃあ」


プリンセスって名前を守り続けるのがこんなに大変だと思わなかった。


だってあたしは転入してすぐ、プリンセスになったから……



「もう寝よう」



部屋の壁には相変わらず大きな穴が空いていて、懐かしさが込み上げる。


『この穴…湊が開けたんだよなぁー』


するとあたしはいつの間にか眠っていた……。




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