さくらの季節
あまりにも寂しいって言うから竜二が大きい犬のぬいぐるみを買ってくれた
「寂しい時は俺だと思って抱き締めて」
子供じゃないんだから…
そう思いながらも嬉しくて大きな犬のぬいぐるみを抱えていた
帰る時間が迫る
新幹線のホーム
竜二と繋ぐ手に力が入る
二人とも何も話せない
発車時間になる
竜二が私を抱き締める
ベルが鳴る
離れたくない気持ちを我慢して乗り込む
涙が勝手に溢れだす
ドアが閉まるギリギリまで竜二と手を繋いでた
「…竜二…」
「さくら泣くなよ…俺も落ち着いたら逢いに行くから」
ドアが閉まり新幹線が動き出す
竜二が見えなくなるまでずっとずっと見ていた
溢れだした涙は止まらない
周りの人の目も気にせずぬいぐるみを抱き締め泣いてしまった