あなたがいるセカイで
『侑人。今日は、ありがとう。こんなにも、長い時間一緒に居てくれて、迷惑だったよね。』
『そんな事ないよ。桜井さんこそ、ありがとう。』
俺は、訳も分からずこの言葉を並べていた。訳が分からないというか、自分の頭の中では整理出来ないで口にしていた。
その事に自分が、一番驚いていた。人にお礼や感謝の意を伝えるということが、これまで無いに等しい言っても良いからだ。
『あ、雪。』
『あ…。』
自分を鏡にしていると、桜井さんがぱらぱらと散りだした白い結晶に敏感に反応した。
『侑人、雪は好き?』
僕を2、3歩残して振り向きながらドラマのような言葉を桜井さんは口にした。