被害妄想彼氏
「修司くん!」


修司くんは私の呼ぶ声に、ビクッと反応した。


「…………………………………誰?」


………は?


「誰って……分からないの?」


「うん……ここまではでできてるんだけど。」


そう言って修司くんは首もとを手で主張した。


そんな…………
そんな、あまり売れていない芸能人の名前を思い出せない様な言い方………。


ひどくない?


「…記憶喪失………クク」


狭子は妖しげに笑った。


「記憶喪失??」


皆は声を揃えて言った。


「嘘やろ?修司!」


慎二くんは修司くんの方を見た。


「誰?」


「……っ!お前、大親友の顔すら覚えてへんのか??」


慎二くんは修司くんの顔に顔を近付け、服を掴んで揺さぶりながら言った。
修司くんは、飛んでくるツバを避ける為、目を瞑り、顔を背けた。


「嘘やろ、修司!お前、真知子ちゃんの事マグロやって言ったのも覚えてへんのか??」


んな事言ってねぇだろ!!!真面目にしてくれよ!


「頭を打ったショックで記憶喪失になってしまった様ですね……。大変稀なケースですが、検査してみましょう」


お医者さんがそう言うと、検査の邪魔だという事で、外に出た。


「おい、狭子!お前の呪いのせいやろ!!どーすんねん!」


慎二くんは狭子に怒る。


「……クク……」


狭子はそんな慎二くんを見て笑った。


「もーええやろ。慎二。狭子に言っても無駄や」


慎一さんはそう言った。


「医者に任せとけばなんとかなるやろ」


慎一さん……マトモな事を………


「とゆー訳で、俺眠いから帰るわ」


……………。
眠いからですか。
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