被害妄想彼氏
「ったくよぉ~。世話やけんな~。アイツ…」


慎一さんはちょっとキレ気味。


「アイツまたどこ行ったんやろな」


慎二くんは心配そう。


「でもさでもさ、記憶喪失でも、微妙に何か感覚は残ってるっぽくない?何回か来た事あるならさ、修司くんが行きそうな所とか無いの?」


由梨が慎二くんに聞いた。


「……………ひとつだけ…あるけど…」


慎二くんはあまり言いたくなさ気だった。
慎二くんが、修司くんの気になっている場所に連れて行ってくれた。


「ここ。」


…ホテル……?
ホテルと言っても、とても大きなホテル。結婚式も出来るような。


「あ、いた!」


修司くんは、このホテルを眺めていた。


「修司くん。」


私が修司くんに話しかけると、また、ビクッと反応した。


「真知子さん……何でここに!?」


修司くんはあわあわと、挙動不審に動いた。


「何でって…探しに来たんじゃない」


私は修司くんに近付いた。


「こ、来ないでくれ!」


明らか、態度がおかしい。


「なに?どうしたの?」


私は修司くんに問いかけた。


「分からない……でも、真知子さんにだけ近づいて欲しくない!」


なんだソレ。


「修司くん……もしかして、私の事嫌いになったの?」


「え………っ」


修司くんは目をパチクリさせて、驚いた表情をした。


「明らか、私を避けてるよね?記憶喪失だから、とか割り切れないし…結構辛いんだけど……」


「ご…ごめん…。でも、無意識で……」


無意識…。無意識に私を避けてたんだ。
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