被害妄想彼氏
「修司くんが、私の事嫌いになったんなら、……別れようよ」


「……………え……」


本当は、別れたくないけど、そうなら仕方ないじゃん…。


「真知子!お前何言ってんねん!!」


慎一さんは私に怒った。


「記憶喪失やねんから仕方無いやろ?修司がお前の事嫌いなワケ無いやんけ!!」


修司くんはまた逃げ出した。


「ほら、お前がそんな事言うからまたアイツ逃げたやんけ。慎二!修司捕まえてこい!」


慎二くんは、頷いて修司くんを追いかけた。


「お前が一番、修司を信じたらなアカンのちゃうん?お前がそんなんでどうすんねんな」


……………でも………


「俺も黙っとくつもりやけど……これ見てみぃ」


慎一さんは、さっきまで修司くんが立っていた場所を指差した。


「…………これ…」


純白の、ウエディングドレス。
このホテルは、結婚式場として、有名なホテルらしい。


「アイツな、この前大阪来た時、たまたまここに来て、『このドレス、真知子ちゃんに絶対似合う!!』って大はしゃぎしとってん。帰る前の日まで言わんとビックリさせる気やったらしい。…アイツ、記憶喪失なっても、忘れてへんかったんやな。」


慎一さんは少し切なそうに話した。


「お前が気にいったら、誕生日プレゼントにしたかったらしい。」


私の…誕生日プレゼントに?


「こんなん、俺が言う事とちゃうのに。でも、しゃあないからな」


そう言った慎一さんの携帯に、慎二くんから電話がかかった。


「おう、慎二。どないしてん?……は?道頓堀川におる?」


…修司くんが、記憶喪失になった所……


「あ、真知子?どこ行くねん!?」


私は、道頓堀川まで、走った。
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