被害妄想彼氏
「修司!止めろや!危ないって!!」


慎二くんの声が聞こえる。


「止めないで下さい。慎二さん。これしか方法が無いんです」


………?何してんの?


ドッボ―――――ン!!


…と……飛び込んじゃったよ……


「あ、真知子ちゃん!アイツ、『記憶を取り戻す方法はこれしかない』とか言ってまた川に飛び込んでん」


川を覗くと、修司くんが川から顔を出した。


「修司くん!」


私は修司くんの元へと向かった。


「…真知子さん……」


「何してんの?」


「僕……記憶が無いせいで、……真知子さんを傷つけてしまった……だから、記憶を取り戻そうと思って……」


…私の為に?


「もう一回飛び込んで来ます」


そう言って修司くんは川から上がった。


「修司くん!もういいよ!」


「……なんで?」


「私の…思い込み……ってゆうか…勘違いだったから、修司くんは悪くないよ!
だから、もういいよ」


「でも、僕は記憶が………………」


私は、修司くんにキスをした。


「ごめんね。私…修司くんを信じてあげられなくて…。でも、記憶が無くても、私の大好きな修司くんだもん。ウエディングドレス……気に入ったよ。…ありがとう」


修司くんはまた、目をパチクリさせていた。


「あ、そっか。ごめん!覚えて無いんだよね?」


私がそう言って微笑むと、修司くんは、フッ…と何かが切れた様に川へと落ちて行った。


「え゛??修司くん??」


修司くんは、ぷかぁっと浮き上がってきた。
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