被害妄想彼氏
原澤くんと遊ぶ約束の日。
私と原澤くんは地元のファミレスで会う事になり、彼は先に席についていた。


「変わったな~前川」


私が席につくと、原澤くんは会話を始める。


「そうかな。原澤くんは変わってないよ」


普通――――!!
普通すぎる!


普通すぎて喜ぶのは世界で私だけなんじゃないかと感じるくらい。


「そうだよ。可愛くなった。」


わお。


「えへっありがとう!」


私は肩を少し上げてお礼を言った。
『普通』なのが嬉しくてテンションが上がる。


「ところでさ~前川は彼氏いるの?」


「うん。…一応」


「一応?」


原澤くんは、少し眉間にシワを寄せた。


「変わった奴でねー、もうほんと破天荒というか、天然ボケなのか、本人自覚してないのが一番イタイ」


私はお冷やを口に含んだ。


「そんなに嫌なら別れればいいじゃん」


……別れる?いや、そこまでは…。


「そして俺と付き合おう!」


………。
えええええ!!


私は吉本新喜劇の様なすっころび方をして椅子から落ちた。


「俺、中学生の時から前川の事が好きだったんだ!!」


うっそ~~~~ん。


「今の彼氏に不満があるなら、俺にしなよ!絶対俺の方が楽しいって!」


…え、ああ。そう。
私はあっけにとられていた。


まさか原澤くんが私のこと好きだったなんて…。


…ん?あそこにいるのは??
私は今店に入ってきた人を見つめた。
< 14 / 143 >

この作品をシェア

pagetop