被害妄想彼氏
私は修司くんに手を引かれ、原澤くんと居たお店を後にした。


「もう大丈夫だよ」


アンタがいなかったら私は大丈夫でした。


「…あ、あの修司くん。どうしてここに…?」


「え?家のクーラー壊れたから涼みに来たんだ。近所だから。」


す、凄い偶然だね。


「でも良かった~ねずみ講の誘いを未然に防げて」


「…修司くん誤解してるよ。あの人は中学の頃の同級生なんだって」


私がそう言うと修司くんは手を離した。


「そうなの?」


「うん」


…やっと分かってくれた。


「…告白、されてたの?」


「え?…うん、そうだね…」


……沈黙。


「俺と別れてあの人と付き合うの?」


「だったらどーする?」


私はちょっと意地悪を言ってみた。


「………困る」


………困る?


「真知子ちゃんが他の男の人と楽しく話してるの見るのとか、なんか、胸の奥がモヤモヤして気持ち悪くなるから…困る」


そう言った修司くんの顔は真っ赤だった。


…………ヤキモチ?
< 16 / 143 >

この作品をシェア

pagetop