被害妄想彼氏
『こいつ、今まで悲惨な人生を送ってたせいか、ちょっと性格ねじまがってんねん』


慎二くんのそんな言葉をふいに思い出した。
私は次の日、由梨を通して慎二くんと連絡を取り、その事を詳しく聞く事にした。


ファミレスで待ち合わせし、ドリンクバーを二つ頼んで単刀直入に話を進めた。


「慎二くん、前に修司くんは『悲惨な過去があって~』って言ってたよね?どんな過去があったの?」


「聞きたいん?」


私はうん、と頷いた。


「あいつは父親がどっかのシャッチョさんやったんや」


「えー、もしかして修司くんってお坊ちゃんなの?」


「…三歳まではな」


……三歳まで?


「親父の会社が倒産して、大量の借金かかえることになってもて、一家心中することになったんや」


「一家心中!!」


「まあ、その後取り立て屋のヤクザが助けてくれたみたいなんや。…息しとったんは修司だけやったんやけど。それから修司はそのヤクザに育てられたんや。多分尾崎豊の歌を習ったってゆうお父さんはその人や」


…ああ。だからあの時。


「でもその新しいお父さんも、ヤクザの中でも下っ端で、先輩やらなんやらに色々だまされたりしたらしいんや」


『いいか、修司。人間を信用するな!すべてを疑ってかかれ!!それが正しい人生の生き方だ!!』


『わかった!ボク、うたがってかかる!!』


「…というのが修司の半生や。」


…ああそう。


胡散臭い………私はそう思った。
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