被害妄想彼氏
「あれ~慎一さん」


由梨が慎二くんと待ち合わせしていたらしく、私らの元へ来た。


「あ、修司くんだ。ねぇねぇ。旅行の話してよー。真知子ったら全然話してくれないんだもん」


「え?話したじゃん」


「大事なとこだけ話してくれてない~!」


由梨は膨れっ面をして、私を見た。


「旅行って何の話なん?」


慎一さんは興味深そうに私達に聞いてきた。
そして由梨が話す。


「……へぇ。修司と真知子ちゃんが?面白そうやんか。あそこのファミレスで話きかせてや」


私達は近くのファミレスに向かった。


「オラ、修司。お前の分のジュースくんできてやったぞ」


慎一さんはドリンクバーで修司くんの分もくんだらしい。


「あの、色がおかしいんですけど」


そのジュースは茶色のような、緑のような、何とも言えない気持ち悪い色だった。


「飲まねぇのか?」


慎一さんはフォークを修司くんの鼻に刺した。


「……いだだぎま゛ず…」


修司くんがそう言うと、慎一さんは鼻からフォークを離した。


「ブホッ」


修司くんはジュースを飲むと、口をおさえてトイレへと駆けて行った。


「あはははは」


慎一さんは最高の笑顔で笑っていた。


「兄貴、真知子ちゃんもおるわけやし、あんまりイジメたんなや」


慎二くんがそう言うと、慎一さんの目つきが変わった。


「お前、誰に口答えしてんの?」


慎一さんはフォークを慎二くんのアゴに当て、クイッと上を向かせた。


「スミマセン…」


さすがの慎二くんも怯えていた。
S男、最強?
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