被害妄想彼氏
「グァアァァァ」


(訳・なにしてくれとんねん、アンタ。イキナリ声出されるとビックリするやんかー。マジムカつくんやけどー。噛みついたろかー。)


……って台詞なが!!
熊がチョコを口から離した理由は私に噛みつくためだったのです。


……うっそーん…


熊は私に向かってきます。


私はその間、走馬灯のようなものが見えました。


『さわるにゃあ!!』
『おろせえぇぇ!!』
『ねずみ講の誘いならお断りです!!』


……あれ?………もっとマシな思い出は無いものか。
まだ死ねない。私はそう思った。


「グァァァアー」


熊の威嚇にビビり、私は後ずさりした。


「え?」

すると私は、右足が浮いているのに気付いた。


…ガケがあること、すっかり忘れてた。


「きゃあああああああああああーー」


私はガケから落ちていった。


「あいたたた…」


思ったより、深いガケではなかったらしく、大層なケガはしなかった。


…………………。
って何で修司くんがここにいるの!?


「何で修司くんまで…大丈夫?」


修司くんは私の下敷きになっていた。


「真知子ちゃんが落ちそうだったから受け止めようとしたら、落ちちゃった」


………。


「ねぇちゃん!熊逃げて行ったよ!人呼んでくるから待ってて!」


智也と大和くんはそう叫んで走って行った。
< 65 / 143 >

この作品をシェア

pagetop