被害妄想彼氏
「椿。この人が俺の彼女の真知子ちゃん」


「ふーん…」


天使の様な女の子は、悪魔の様な顔をして私を睨んだ。
敵意むき出しのこの天使に、私は少し戸惑った。


「真知子お姉ちゃんね。初めまして!瀬戸椿です。…あ、今は『皆川』椿かな?」


天使はそう言って恥ずかしそうに笑った。


「よろしくね」


私は天使と握手をした。
……が、力は思ったより強かった。


「いたたたた!……いたい!痛いって!!」


かまわず天使は私の手をきつく握る。


「いいかげん離せや!!」


あまりの痛さに叫んでしまった。
天使は私の手を離した後、ニヤリと笑った。


この子を見ていると、マッチの昔の歌を思い出す。


分かる人にだけ分かってくれればいいです。
てか今どきの高校生は知らないだろ…。


「椿も無事に帰ってきたことだし、俺達の新居に遊びに来いよ、真知子」


ああ、引っ越したんだね。私達は修司くん達の新居へ向かった。


「とうちゃく~」


………なんじゃこりゃあ????


着いた先は超!豪邸!!
修司くんの新しいお母さんは、大企業の娘で、結婚祝いに新居をプレゼントしてもらったらしい。


それがこの家。


「20LDKKなの」


天使が言う。


…え?『K』一個多くない?


「キッチンが二つあるのよ。」


………ああ なるほど。
てかキッチン二つもいらなくない??庶民の私には理解不能です…。
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