被害妄想彼氏
…ベチャッ!


慎二くんは転んだ拍子に、むこうから歩いてきたヤンキーのシャツに、アイスをつけてしまった。


「なにしとんじゃクラァアァァァ!!」


ヤンキーはカンカンに怒っている。やばい状況。


「どうしよう」


慎二くんは謝ったけどヤンキーは許さない。
てゆうか、今時ヤンキーがいるのはおかしくないか?


「大丈夫」


修司くんが言った。
私は何が大丈夫なのかと思ったが、修司くんは何だか自信満々な顔をしている。


「こういう時の為に父に習った…」


空手でもやってたの?


「尾崎豊の歌がある!」


………ハ?


修司くんはヤンキーの所へ行った。


「ちょ、ちょっと修司くん」


「大丈夫!歌唱力には自信あるから!」


どゆこと?


修司くんはヤンキーの前で尾崎豊の歌を歌った。
確かに上手い…が、ヤンキー達は呆然としている。


(何、こいつ?)
(キモッ)


お構いなしに修司くんは歌い続ける。
多分、『ヤンキーは尾崎豊の歌が好き』という変な認識があるのだろう。


「どうだ!感動したか!」


ヤンキーはあっけにとられていた。


また慎二君が大爆笑する。
いや、お前が笑える立場じゃないだろ…私はもう、こいつらにはついていけない。そう思った。


まぁ、そんなこんなありまして、すっかり暗くなり……。


「最後に観覧車に乗ろうぜー」


慎二くんが言う。ここはやはり、カップルで乗るのかな?私は、修司くんと?


気ィ重っ


「真知子ちゃん、行こう」


修司くんに手を引かれて私達は観覧車に乗ることになった。


観覧車から見る夜景ってキレイ…私はまた機嫌が治った。
うん、単純ですから。
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