被害妄想彼氏
こ、こうゆうのをセレブって言うのか…。


「なに驚いてんの?前のお家なんかもっと凄かったんだから!


お部屋は50個以上あって、リビングなんかこのお家位の大きさだったのよ」


…どこにあるんですか、そんな家。
少なくとも私は見たことないです。


「庶民丸出し!だっさあい」


…やかましわ。嫌味なクソガキめ。
アンタのあだ名は、


『天使の顔して、悪魔のような台詞を吐く、セレブ気取りのお嬢様。てかアンタの金じゃねえだろ。偉そうにしてんちゃうぞ、ハゲー』に決定。


略して『ハゲ天使』。別にハゲてないけど。


ハゲ天使は自分の留学中の話をしていた。私はあまり聞いていなかった。


「椿は、本場のパリでお菓子を習ってきたの。」


「へぇー。そういえばマリーもお菓子作んの上手かったな」


「そうだ!真知子お姉ちゃん、一緒にお菓子作りましょうよ!」


……ハァ?ダルイって。


「ほら、真知子お姉ちゃん!」


ひっぱんなや、ハゲ天使。


「二人はイキナリ仲良くなったなぁ」


…修司くん、本気で言ってんの!?
私は誰かに助けられるわけもなく、キッチンへと引きずりこまれた。


……ハゲ天使に。


ねりねりねりねりねり。
私はずっとクッキー生地を練っていた。


さっきからハゲ天使は黙ったまま。


「……ねぇ」


何か?ハゲ天使様。


「アンタさぁ、ムカツクんだけど」


おっと、出ました。『ムカツク』発言。


「……何で?」


とりあえず理由を聞いてから怒ろう。


「修司お兄ちゃんも、大和もさ、アンタにべったりなんだもん。キモイよ。」


出た―――!!『キモイ』!!今の若者の使う言葉ベスト10ですよ。


「ああ そう」


クールな切り返し。


「だからその態度がムカツクの!」


……ああ そう。
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