被害妄想彼氏
「なんでぇ」


「彼氏の誕生日なんで」


私がそう言うと、お兄さんは目をパチクリとさせた。


「あんた律儀だね~」


お兄さんは笑いながら言った。


「いいよ、来れないなら。でも来れそうなら来てよ」


どっちだよ。


「んじゃね」


お兄さんはそう言って私のオデコにキスした。


「!!」


な………


「またね~」


コイツは………シェクハラ男だ。



修司くんの誕生日まであと10日。
今日は放課後デートの日。


「真知子ちゃん、手紙見た?」


「うん、誕生日会するんだよね?」


¶~♯~♭~♪♪


メールだ。


私はカバンから、携帯を取り出そうとした時、あのチケットが落ちた。


「落ちたよ。」


「あ、ありがと」


「真知子ちゃん、ライブとか行くんだ?」


「いや、別に…」


あのシェクハラ男…修司くんと似ているのは顔だけ。


「へぇ、俺行きたいなー」


「でもその日、修司くんの誕生日じゃん。」


「ライブ20時からでしょ?行けるよ。……あ、それとも他に誰か行く人いた?」


「……ううん」


「じゃ、行こうよ!」


…………え。
< 85 / 143 >

この作品をシェア

pagetop