被害妄想彼氏
「あなたが、真知子ちゃん?」


綺麗な声。


「はい」


私はそう言って振り向くと、とても綺麗な人がそこに立っていた。


「初めまして…この度、修司くんの母親になりました……道子です。よろしくね」


お……お母様でいらっしゃいますか…。
お母様…お母様の格好も…中世のヨーロッパみたいな感じです……。


これは『セレブ』というよりも、『貴族』なのではないか……。


「あー、では、これより、修司お坊ちゃんのご生誕を祝う会を始めさせて頂きます」


司会をしているこの人はどことなく、きみ○ろに似ている……


「では、早速修司お坊ちゃんからの挨拶でございます」


フランス人の様な修司くんは、舞台へと立った。


「え―――…僕がここまで生き延びれたのも皆さんのお陰です」


『生き延びれた』って…アンタの人生に何があった。


「今日の朝ご飯は、生ハムとパンでした」


え……っどうでもいいんですけど??


「そろそろ、カレーが食べたいです」


………意味不明…


「あいつ緊張するとあぁなんねん。」



慎二くんは笑いを堪えながら言った。
修司くんはきみ○ろ似の司会者に連れて行かれた。


………大丈夫かよ…。
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