被害妄想彼氏
「♪朝はカレー。♪昼はカレーうどん。♪晩はカツカレー。♪オイラは白い服が着れない。
なぜならオイラのメシは年中無休でカレーだから。aaa...白い服…カレーの敵さ♪ホワイトファッション…」


………。
なにこの歌…。


私と修司くんはライブハウスへと来ていた。
シェクハラ男のバンド名は、『cyairo』。


今の歌は『オイラの敵は白い服』……。


「いい歌だ」


修司くんは隣で涙を流している。
それよりも気になるのは……修司くんが着替えていないという事。


ライブに18世紀のフランス人みたいな格好で来るヤツがどこにいる?
めちゃくちゃ目立つし…。


「センキュウ!!」


……あ、終わったのか。


「お、真知子!」


シェクハラ男は舞台から飛び降りてきた。


「なんだぁ!やっぱ来てくれたんじゃん!!」


「あ…うん…」


まさかあんな変な歌を聞かされるとは思わなかった。


「真知子ちゃんの友達なの?」


修司くんがシェクハラ男と向かい合わせに立った。
二人並べても、やっぱ似てる……。


「アンタが真知子の彼氏?男前だなぁ!」


シェクハラ男は笑顔で言った。
……でも、それって自分を男前と言ってるのと同じですよ……。


「何言ってるんですか~。あなたの方が男前ですよ」


!!修司くんまで!
それから数十分、彼らの『男前』トークが続いた……。


「へぇ、修司ってゆうんだ。俺の名前は順。よろしくな」


「こちらこそ」


二人は握手をした。
こいつら気持ち悪いな……。


……なんかトイレ行きたくなってきた…。


「修司くん、トイレ行ってくるからちょっと待っててくれる?」


「うん、いってらっしゃい」


そう言って私はその場を離れた。
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