大切な時間
《アキ》

「俺の連れになんか用?」

 その声の主は晃太だった。

「んだよ、連れがいるなら言えよ、ブス」
 と今までの会話を全て無視した捨て台詞を残し相手はいなくなった。
「あぁ?なんだとこら…っ」
 と言って追いかけようとする晃太を必死で止めた。

「気にすんなよ。お前可愛いからな」
 怒りを収めた晃太は私の頭をぽんっと軽く叩いた。

「ありがと…」
 晃太は私を置いて行ったことを謝った。その後今まで必死で探してくれたことを知り、置いて行かれた事に対しての悲しさは拭えた。

「とりあえずもうすぐ始まるし、場所取りに行こう。」
 と晃太に言われ、二人で河原へ行く。

 太一はあとから来るからと言われ、そのまま座って待っていると晃太が口を開いた。
「…あのさ、率直に言うけど、オレアキのこと好きなんだ」

「えっ?」
 いきなりで驚いて大きい声を出してしまった。晃太の顔は小さい頃よく見せた真剣な顔に変わっていた。
 何か言わなきゃ。でも何を言えばいいのか分からない。いきなりまわりの騒音も何も聞こえなくなった。

「ごめん…」
 気が付いたら私はそう言っていた。今は久しぶりの幼なじみの再会の嬉しさを感じるだけで精一杯だった。恋をするとか、そんなことは全然考えていなかった。

 晃太は「そっか」と言って黙ってしまった。
 私はその気まずい雰囲気に耐えられなくなり、
「太一捜してくる」
 と言ってその場から逃げてしまった。

 ついさっきまでの事に心の中が煩く騒ぐ。それに気づかないふりをして私は目立つ場所にいる為に大きな木の下へ行った。ここなら比較的人も少なくて見つかりやすいかもしれない。

 私が立った場所のすぐ近くにしゃがみ込んでいる太一が見えた。太一を見つけたことに必要以上にほっとし駆け寄った。

「太一…?」
 太一の様子がいつもと違った。
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