大切な時間
《晃太》
 太一と手分けをしてアキを探し始めたと同時に、ピンクの浴衣を着たアキを発見した。アキは知らない奴に手を掴まれているところだった。

「オレの連れになんか用?」
 そう言ってアキの腕を掴むとアキをナンパしていた奴はこう言った。

「んだよ、連れがいるなら言えよ、ブス」

 …ぶ、


 ぶすうううぅあ?? 

「あぁ?なんだとこら…っ」
 どこに目を付けてんだよお前のその目は鼻の穴かなんかか??オレが反論しようとするとすぐにアキに止められた。
「いいんだよ晃太!」
「絶っ対、許さねえ!あいつに鏡というものを教えてやる!」

「駄目だってば!」
 一瞬、冷静にオレの胸元を見るとアキがオレに抱きついているのに気がついた。そうでもしなきゃオレを押さえられないと思ったのだろう。オレの心臓がバクンという音を出す。

「き…気にすんなよ。お前可愛いからな」
 オレは冷静さを取り戻しアキに本当のことを言う。

「ありがと…」
 振り向くと背中で小さくそんな言葉が聞こえた。

「とりあえずもうすぐ始まるし、場所取りに行こう。」
 そう言ってオレはアキを河原の方へと連れて行く。太一との約束の時間まであと二十分くらいあった。

 オレはいままで正直勢いだけで生きてきた。思い立ったらすぐに行動しなきゃ気が済まないタイプで、今まで失敗だらけだったが、成功したことだってある。
 だから今日オレは成功に賭けてやらなきゃいけないことがある。
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