大切な時間
《晃太》
暑い…9月になったのに夏の太陽はまだ空の上で威張り続けている。

「お前の出番は終わったんだよ、出しゃばりめ」
オレは授業中だと言うことも忘れ、机に突っ伏して太陽を睨みながらそう言った。
授業中だと言っても皆が大声で話してるから誰も気にしない。

花火大会の後、すぐに連絡できるようにと言ってアキの番号をゲットした。でも電話をする勇気がいつも少し足りなくてできない。

「とんだチキン野郎だぜ。」
と口にすると、斜め前の奴が飛び上がって振り向いた。

メールも話題がないとする意味がない気がするし…。オレって以外と臆病なんだな。


「あーもう意味ねえよこんなこと!」
考えるのが嫌いなオレは思わず叫んだ。

「じゃあお前が意見だせよ」
委員長の西野が眉を吊り上げて言った。
今はもうHRだったらしい。黒板には現在の議題が副委員長の綺麗な字で書かれている。
副委員長ってアキに似ててちょっとかわいいな。名前なんだっけ。藤…谷?崎?

「文化祭の役割分担と役決め」

文化祭でうちのクラスは仮装喫茶店をやる。店員のオレ達が有名人の仮装をして接客するんだが、オレはいまいち乗り気になれな……それだ!!!

「オレは絶対かっこいいやつやりたい!」
オレは立ち上がって言った。

「それは意見じゃなく希望だ。却下」
表情はさっきのままで西野が言う。

生意気な事を言ったオレはみんなから無理矢理みのもんたにされた。…黒いだけなのに。全然かっこよくないよ!
これじゃアキにアピールできないじゃないか!

委員会の後皆からつらい宣告を受けたオレは病人のように机にもたれていた。

「燃えつきたぜ…真っ白にな…」
と危ない独り言を言っていると、

「大丈夫?元気出して、みのもんたはかっこいいよ」
と言う声が聞こえた。
頭をあげるとそこには副委員長が立っていた。
みのさんがかっこいいなんてまじで言ってんのかなこの子。
でも、本当にアキに似てるかも…遠くの花より近くの団子ってやつかもな。ん?違ったっけ。
すると彼女は俺の目を見てこう言った。

「ねぇ鈴木君、今日暇?」
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