女子高生夏希のイケメン観察記
「僕僕ーっ。
 え? ボクボク詐欺?
 そんなの聞いたことないってば。それに、そっちにうちの番号出てるでしょ?
 え? 僕が詐欺師みたいなもんだって?
 ひどぉいっ! ていうか、いいじゃない。お金余ってるんだから。使わなきゃ腐るよ。
 ねぇ、どうせ暇してるんでしょう?
 ちょっと、相談あるからうちまで来てよ。
 えー、ほら、久遠(くおん)が立てたお茶のみたいしー。
 ええ? 新しい茶葉手に入れたの? そりゃ僕も飲みたいよ。
 ね? うん、待ってるから。
 え? 可愛い子?」

そこまで一気にまくしたてるように言うと、すっとその視線を私に向けた。
きっかり3秒。
上から下まで舐めるように視線を向け、それからさらにきっかり3秒、迷いを持て余すように軽く首を傾げている。

そうして、声を出さずに「まぁいっか」と口を動かしてから、受話器に向かいなおす。

「うん。可愛い子、準備しておく」

……って、それ、私のことー?
  しかも、実際「可愛くない」って思ってるでしょ、店長?
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