女子高生夏希のイケメン観察記
「嫌だなぁ、智(とも)のことじゃないって。
 もちろん、僕のことでもないよー。 正真正銘のジョシコーセー、JK。 え?KYじゃないってば。うん。もうそれ、古いよ。イギリス帰りなんだからさ、もっと、横文字に強くなんないとって……スミマセン、図に乗りました」

途中から、確実に電話の相手に謝ってますよね? 店長?

……一体、電話の相手は誰なのかしら。

「じゃあね、バイバイ」

と。一方的にまくしたてているようにも聞こえる。
受話器を置いた店長は、ふぅーっと深いため息をついた。
無理矢理あげたテンションが一気に下がったって顔してる。

そんなにテンションあげなきゃいけない相手って、誰よ?

「誰が、来られるんですか?」

「スポンサー」

括っていた髪を外しながらそう言うと、夜のイケナイ仕事をしているお姉さんにも見えてくるような美しさだ。

その細かい動きも見逃すまいと凝視していたら、不思議な視線を私に向けてきた。

「で、なっちゃんは一体、ここに何しに来たの?
 お花、もう残ってないんだけど」

知ってます、ええ。
花なら今しがた必死で一緒に売りさばいたじゃないですか?



っていうか、いまさらそれが気になっちゃったんですか? 店長ーっ!
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