女子高生夏希のイケメン観察記
こういうとき、一体なんていえば良いのかしら――。

「奏の客人か?」

客人、なんていまどきそんな言葉使わなくないですか?

なんて、初対面の彼に突っ込むのも憚られた私は。

「違うんです、その。
 アナタに逢いに……来たんです」

と、動揺のあまり、わけのわからないことを口走っていた。

「ほお?
 俺のことを知っている?」

「あ、の。
 そうじゃなくて、えっと」

テレビで見たんです、なんて気軽にいえる空気でないことくらい分かる。

「なんていうか、そう。
 花屋のバイトすることになって。
 で、店長がその。
 お茶の準備をするとかなんとかで、えっと」

思いつくこと全てを言葉にしてみるのだけれど、ちっとも文章にならない。

「ああ」

と。その断片で何かを察してくれたのか、彼は突然私の手を取った。

ええええ?

日本男児の顔してらっしゃる割には、その身のこなしはカジュアルですね~~?
思いがけず、和風イケメンの手に触れた私は、頭に血が昇って倒れそう。
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