女子高生夏希のイケメン観察記
3.オレサマ男は「茶道家元」
ピンポーン、と。
この純和風の家には似つかわしくない、聞きなれた音が響く。
「あー、もう久遠来ちゃったじゃない。
ねぇ、智。
ちょっと迎えに行ってやってよ」
「ああ」
一言、『ああ』と言って、さっさと歩き始めるのは良いのですが……。
あの、そろそろこの手を放してもらうわけにはいかないでしょうか?
歩幅の広い和風イケメンさんに引きずられるように玄関へと向かう。
それは、花屋の入り口とはまるで違うところにあり、私に高級料亭の入り口を想像させる立派なものだった。
その玄関にこれまた着物を綺麗に着こなした男性が、既に誰からの歓迎も受けないままに履物を脱いでいた。
群青色の着物は、いかにも高級っぽくて。
私は現代日本から切り離されてしまったような錯覚を覚える。
品のある仕草で履物をそろえて顔をあげた彼は、これまた目を瞠る様なイケメンで……。
「なんだ、これが奏の言ってた女子高生か。アイツの可愛いって概念は一体どうなってるんだ。これは一つ俺が鍛えなおしてやる必要があるな」
なんて、初対面の相手から横柄で失礼な言葉が吐かれているにも関わらず、『夏休みの宿題、もらった♪』と、浮かれている私がここに居たりもするのです……。
この純和風の家には似つかわしくない、聞きなれた音が響く。
「あー、もう久遠来ちゃったじゃない。
ねぇ、智。
ちょっと迎えに行ってやってよ」
「ああ」
一言、『ああ』と言って、さっさと歩き始めるのは良いのですが……。
あの、そろそろこの手を放してもらうわけにはいかないでしょうか?
歩幅の広い和風イケメンさんに引きずられるように玄関へと向かう。
それは、花屋の入り口とはまるで違うところにあり、私に高級料亭の入り口を想像させる立派なものだった。
その玄関にこれまた着物を綺麗に着こなした男性が、既に誰からの歓迎も受けないままに履物を脱いでいた。
群青色の着物は、いかにも高級っぽくて。
私は現代日本から切り離されてしまったような錯覚を覚える。
品のある仕草で履物をそろえて顔をあげた彼は、これまた目を瞠る様なイケメンで……。
「なんだ、これが奏の言ってた女子高生か。アイツの可愛いって概念は一体どうなってるんだ。これは一つ俺が鍛えなおしてやる必要があるな」
なんて、初対面の相手から横柄で失礼な言葉が吐かれているにも関わらず、『夏休みの宿題、もらった♪』と、浮かれている私がここに居たりもするのです……。