女子高生夏希のイケメン観察記
「いい、何も考えずに飲んでみろ。
 ついでに、感想も意見も言わなくていい」

その瞳が真っ直ぐに私だけを見ているところをみると、もう、分かっちゃいました?
さっきの言葉の意味、まるで理解できなかったってこと。


それでも。
その、大事に大事に淹れられた紅茶が特別に美味しいことだけは、その香りからも推察できる。

紅茶が喉を通っていくだけで、こんなにうっとりできたことははじめてだ。

「ほら、何も言わなくてもその顔を見れば、これがどれほど上手いものかなんて分かるものさ」


紅茶を一口飲み終えた私を見る、久遠さんの瞳は、何かしら満足しているようにも見えた。

うん、その満足を私の発言で台無しにしないようにしなきゃ。


と、何故かイケメン三人と、見たことも無いような高級食器を使って、レアな紅茶を飲んでいる私は、呼吸を整える。



うーん、一体何がどうなっちゃったのかしら。
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