女子高生夏希のイケメン観察記
1.夏休みの宿題は「イケメン観察記」
「うっわ、見つけちゃった……」

私は思わずテレビ画面に釘付けになる。
食べかけだったカレーライスのスプーンを急いで皿に戻し、テレビの前に正座する。

「父ちゃんーっ。
また、姉ちゃんが壊れたーっ」

弟がこれ見よがしに何か大声で叫んでいる。
が、それどころじゃないのよ。

今、夏休みの宿題において、重要な人物をお姉ちゃんは発見してしまったところなんだからねっ!

ちょっと、秋人(シュウト)、黙りなさいよっ!

心の中で弟に叫んで、目は画面に釘付け。

でも。
残念だけど。

二度と、あの人はテレビ画面に戻ってきてくれない……。

見慣れたお花屋さんがにっこり笑って、日常の仕事についてレクチャーしているばかり、なんだもの。
そりゃ、この方も十二分に素敵な容姿をお持ちではあるのだけれど。
さっきの方には及ばない。
いや、タイプの問題かな。

なんて、ごちゃごちゃ検討している間に、たった10分足らずの「お仕事教えて」という教育番組は、あっさりと終わりを告げてしまったのだ。


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