女子高生夏希のイケメン観察記
「構わぬ。
 いいか、俺のモットーは、『龍堂寺久遠に不可能はない』だ、覚えておけ」

あ、それはナポレオンのパクリ、ですよね?

私の心の声でも読んだのか(っていうか、そんな能力あるんですかね? まさかね?)、にやりと嫌な感じに唇をゆがめる。

「いいか、夏希。
 ナポレオンは『俺の辞書に不可能は無い』
 あっちは所詮『辞書』だ。
 俺の場合は、俺自身に不可能はない、と言っている。
 あんなチンケなフランスかぶれと一緒にするな」

えええ~~~?
今、なんか聞いてはいけない台詞を聞いたような……。
『全国ナポレオン崇拝協会』から、刺客を送り込まれますよ? きっと。

なのでその発言、全体的に忘れさせていただきます。
今すぐに。

「ご両親に挨拶に行けばすむだけの話だろう?
 ほら、今すぐ行くぞ」

……いやいや、あのね。
  立ち上がってらっしゃいますけど。

いやぁあっ。
私の手を握らないで、掴まないでっ。

引きずらないで~~~~!!

「なっちゃん、部屋の準備はしておくから」


背中でにこやかに微笑んでいる、奏さん。
あなた、絶対に悪魔が乗り移ってるでしょ、きっとそうに違いないんだからぁあああっ!
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