女子高生夏希のイケメン観察記
「先に説明しておくが、お前はうちの夏休み研修にアルバイトとして参加するということにしておく。
 構わんな」

どうして自信たっぷりに決め付けてるんですか?
構うに決まってるじゃないですかっ

「何ですか、その研修って」

「ん?」

にやりと、その紅い唇を嫌な感じで歪ませる。
もっとも、元が綺麗だとその歪みさえも綺麗に見えるから怖ろしいんだけど。

「知らないのか?
 ありがたくも龍堂寺派家元がじきじきに一般人に茶の稽古をつけてやろう、という。
 素晴らしいイベントだ」

「そんなのに参加する人、居るんですかぁ?」

い、嫌だ。
参加する権利があったとしても、出来れば逃げ出したい。

「ほう、本当に知らないのか。
 あの有名アーティストのライブチケットを手に入れるより、よほど倍率が高いというこのイベントを」

「はぁ、まぁ、残念ながら」

「もっとも、去年までは父が主催者で、俺はただの手伝いでしかなかったが」

でしょうね、その金髪じゃぁ。

「父が急死したので、急遽イギリスから帰国して家元の座をついで、ようやく数ヶ月が経過したってところだな」

ヒトゴトのように呟いてますが。
……実は、家元新米?
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