女子高生夏希のイケメン観察記
し・か・も。
私は今、二階の自分の部屋でキャリーバッグに荷物をつけているところ。

話を切り出す前に、久遠さんが極上の笑みを浮かべて、有無を言わせぬ強さで
『夏希さん、今の時間に荷造りしたいと仰っていましたよね?』
などと言って、私を部屋から追い出してしまったのだ。

う~~~、一体父親とどんな話をしているのかしら。
気になる、気になるわーっ!!

でも、出発までに荷物を整えておかないと、これまたどんな扱いを受けるか分からないし。

……って。

私、どうして気づけばこんなに久遠さんのペースに巻き込まれているのかしら。
おかしいわぁ。

智さんの傍にも居れるからっていう理由で、奏さんのお店でバイトをする、だけ、だよね?


とはいえ。
私は色気の無い大学ノートを一冊、キャリーバッグにあわせて詰め込んだ。

今まで見かけたイケメンメモもちょくちょくはあるけれど。
うん。
これだけは完成できる気がするわー!!

これで、ナルの写真撮影担当を免れることだけは出来そうだった。
< 40 / 163 >

この作品をシェア

pagetop