女子高生夏希のイケメン観察記
鬱陶しそうに鬘を外す。
すっかりもとの金髪に戻ってしまった。

「で、父をどうやって説得したんですか?」

「説得?
 あれは商談というものだ」

「しょ、商談ってっ」

もしかして、うちの父、お金で私を売り飛ばしたんじゃぁ……。

「一体いくらで私を買い取ったんですか?」

久遠さんは呆れたようにため息をついた。

「お前、人身売買されたいワケ? 言っとくけど違法だよ、それ」

「だって、商談っていったら、その」

焦る私に、久遠さんはなんてことない顔で言う。

「アルバイト代。
 もちろん、本人に半分、残りの半分はお父様に前渡し。
 それで納得してくれたけど?」

「……どうして、働かないうちの父にバイト代を受け取る権利があるのよっ」

「そりゃ、まとまらない話をまとめるために決まってるだろ?
 夏希って、ほんっと、ばっかだな」

あの、久遠さん。どっちかっていうと、その商談そのものがむちゃくちゃなのでは?
……呆れたように言い放つのっておかしくないですか?

「それとも、折角の智との同居生活、諦める?」

「……いや、それは、あの」

っていうか、私。
一体どうして、今日テレビで見知ったイケメンと、夜には同居する運びになっちゃってるのかしら。


わけわからないのは、私がバカだから?
それとも……。
この男が強引過ぎるから?

出来れば、後者であってほしいところ、なのですが……。
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