女子高生夏希のイケメン観察記
ピンポーン

救いの神?
私はほっとした。

チっと、確実に忌々しそうな黒い色を携えた舌打ちをして、奏さんが立ち上がる。

しばらくすると、名前を呼ばれた。

「はぁいっ☆」

テンション高く玄関に向かう。

「俺に会えなくて淋しかった?」

……救いの神、は。
破壊神だったようだ。

萌黄色の着物に身を包んだ久遠さん。

「……そ、ソウデスネ」

ほとんど棒読みで曖昧に頷いて見せて、「そんなことないですよ」を表現してみたつもりだったのだけれど、あえなく失敗。

「分かる分かる」

なんて、笑顔で頷いていらっしゃいます。


……どんだけ自意識過剰!?
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