女子高生夏希のイケメン観察記
「紅茶、飲みに行かない?」

さらりと切り出したのは、お茶の誘い。

「この前の高級茶葉をくれた店?」

きっと、久遠さんからの誘いは絶対なのだろう。
奏さんが半ば諦め顔でそう切り出す。

「そうそう。
 やっぱり自分が見つけた良い店は、皆に自慢したいじゃない」

……え?
自慢したいだけなんですか?

言わなくていいことを、きっぱり言い切ってしまうのはいったいどういう趣向なのかしら。


とはいえ。

郷に入れば郷に従え、住めば都、イケメンからの誘い断るべからず、というわけで。

いや、むしろこの時点で断る権利なんてなかった気もするし。



私は、奏さんと一緒に久遠さんについて出かけることにした。
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