女子高生夏希のイケメン観察記
「それにしても、久遠ちゃんは隅に置けないわね。
 彼氏も彼女も連れてるなんて」

うふ、と。
意味ありげな笑顔を浮かべてマスターが言う。

……ち、違います。
  彼女なんかじゃありませんっ。


私は弾かれたように目を丸くする。
奏さんは諦めているのか、表情一つ変えずに紅茶を啜っていた。


……大人だなぁ。


私が口を開く前に、久遠さんが口を開く。

「まさか。
 二人とも俺の下僕ですよ」

……そ、それも違うんですけどぉ。


でも、またしても私が口を開く前に、マスターが口を開いてしまった。

「あっらぁ~。
 素敵だわぁ。
 私もそのお仲間に加えていただけないかしら」

「お望みなら、いつでもどうぞ」

久遠さんは口許に優美な笑みすら浮かべて、そう告げた。
マスターは、うっとりと久遠さんを見つめている。

いや、もしかしたらねっとりと、って言ったほうがあってるのかも。



……とりあえず、私をその変な仲間から外してくださいっ!!
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