女子高生夏希のイケメン観察記
「それにしても、優雅な生活を送られていますね」

ふうわりと甘い笑みを浮かべながらも、ストレートに切り出すのが奏さんの凄いところだ。

「あら、そうかしら」

褒められて悪い気はしないのか、マスターはにこりと八重歯を零して笑う。
おかまだろうが、男だろうが。

元の顔が素敵な人の笑顔は、キュンとするほど素敵だわー。

「だって今だってほかにお客さん居ないですし」

い、いや。
いくらにこやかでもそこまで言っちゃぁダメなんじゃないですかね?

「ふふふ。
 坊やはお店でもやってるのかしら。
 観察力があるわぁ。
 でも、ほら。あなたたちが来てくれたから三千円の儲けよぉ。
 それに、私、ほかに才能あるの。
 風水から黒魔術まで幅広く。
 良かったら坊やのことも占ってあげようかしら」

「是非っ」

奏さんのこの零れそうな眩しい笑顔は、芝居かしら。
それとも、天然?
そ、それとも。マスターみたいなのがタイプだったり……?

「じゃあ今度、一人で遊びにきてね」

な、何か二人のやりとりに黒いものを感じるのは気のせいなのかしら?
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