女子高生夏希のイケメン観察記
「庭で剣を振るってた。
刀を取り上げるまですっかり夢中になってるんだから。
ほら、庭めちゃくちゃになってたろ?」
真実を知っている私でさえ騙せそうなほど、至極自然に奏さんが言う。
「それだけ?」
すぅ、と。智さんが目を細める。
何かを探るような、求めるような眼差し。
でも、奏さんは怯まない。
「そう、それだけ。
僕が見たのはね」
そうしてアイドル然とした顔で柔らかい笑みを零した。
それは、嘘偽りの無い事実。
けれども、真実とはやはり言い切れない気がする。
「奏、俺が知りたいのは本当のことだ」
黒い瞳が射抜くように奏さんを見据える。
「僕が告げたのは本当のことだよ、智」
鳶色の瞳で、柔らかく微笑み続ける奏さん。
かみ合わない二人の会話。
それを見ながら、おろおろと視線を動かすだけの私。
交わされる言葉の軽さに反比例したかのように、空気がひどく重かった。
刀を取り上げるまですっかり夢中になってるんだから。
ほら、庭めちゃくちゃになってたろ?」
真実を知っている私でさえ騙せそうなほど、至極自然に奏さんが言う。
「それだけ?」
すぅ、と。智さんが目を細める。
何かを探るような、求めるような眼差し。
でも、奏さんは怯まない。
「そう、それだけ。
僕が見たのはね」
そうしてアイドル然とした顔で柔らかい笑みを零した。
それは、嘘偽りの無い事実。
けれども、真実とはやはり言い切れない気がする。
「奏、俺が知りたいのは本当のことだ」
黒い瞳が射抜くように奏さんを見据える。
「僕が告げたのは本当のことだよ、智」
鳶色の瞳で、柔らかく微笑み続ける奏さん。
かみ合わない二人の会話。
それを見ながら、おろおろと視線を動かすだけの私。
交わされる言葉の軽さに反比例したかのように、空気がひどく重かった。